読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

みーの初期研修

お医者さん1年目の「みー」が,医学に関する知識や日々感じたことをまとめています.

PPIは食前に服用した方がよいのか?

プロトンポンプ阻害薬(PPI)の服用タイミングを考察してみます.ランソプラゾールを取り上げます.

胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger-Ellison 症候群の場合
通常、成人にはランソプラゾールとして1回30mgを1日1回経口投与する。*1

1日1回飲めばいつでもよいようです.しかし,服用タイミングは食後よりも食前がよいという意見もあります.

食後に投与すると,血中濃度が絶食下投与と比較して大きく低下する *2

f:id:atsuhiro-me:20170510224622j:plain:w360

投与後24時間で濃度はほぼ0になっています.1日1回の内服では,全く効いていない期間があるような気がします.しかし,24時間胃内pHモニタリングの結果を見ると,1日1回の内服でpH>3がほとんどの時間で達成できるようです.

f:id:atsuhiro-me:20170510225237j:plain:w360

このデータからは,1日1回内服すれば十分だと思われます.血中濃度はあまり重要ではないのかもしれません.

図は,タケプロン インタビューフォームより引用.

*1:タケプロン インタビューフォームより

*2:PPIの効果的な服用時間|Web医事新報|日本医事新報社

引き出しを開ける時

看護師さんがみーの足元にある引き出しを開けようとしました.

引き出しを開ける前に「すみません」と言ったので,みーは「どうぞ」と場所を譲りました.

別の看護師さんがみーの足元にある引き出しを開けようとしました.

引き出しを開けながら「すみません」と言ったので,引き出しがみーの足に当たりました.

前もって言うことは大切なのです.

夢の中で寝た

当直で病院のベッドで寝ていた時の話です.患者さんが来てPSHで呼ばれたのに,起きられずにそのまま寝てしまいました.

もう一度患者さんが来て呼ばれました.今度は起きられました.さっき起きられなかったのは何時のことだったんだろうとPSHの着信記録を見ましたが,そのような着信はありませんでした.

どうやらPSHで呼ばれたもののそのまま寝た夢を見たようです.

病院で寝ても気持ちは全然休まらないことを実感しました.

医学生のうちに学ぶべきこと 研修医になってから学ぶべきこと

みーは効率至上主義な性格なので,勉強をする上で「この勉強は今する必要があるのか」ということが気になります.医学生のうちに学ぶべきことと,研修医になってから学ぶべきことを,コストパフォーマンスの面から考察してみます.

診断学は研修医になってから

大学で診断学の講義がありましたが,ぶっちゃけ理解できませんでした.鑑別疾患を想起せよ,と言われても,疾患の知識が不十分ではどうしようもないのです.まずは国家試験を利用して疾患の知識を深めてから,診断学を勉強する方が効率がよいです.

また,病院では実際の患者さんの診断に直接関わっていけるので,指導医がどんな検査をオーダーして結果をどのように解釈しているかを観察すれば,医学生の時の10倍ぐらいの効率で診断学が勉強できます.教科書で症例集を読むのも,何も経験がない医学生の時と,臨床を少しでも経験した後では,感じ方が変わります.

したがって,医学生で鑑別疾患が全く分からなくても,そんなに心配する必要がないと思います.

診断学で最も重要なのが,検査の感度・特異度の理解です.医学生だと,「Murphy signがあるから胆嚢炎だ!」という1対1対応で十分ですが,Murphy signの感度特異度は100%ではないので,必ずしも胆嚢炎とは言い切れません.感度特異度の概念なしに診断学を勉強することは全くの無意味だと思います.

薬の商品名も研修医になってから

使わない知識は忘れます.研修医になったら毎日薬の名前と悪戦苦闘することになるので,自然に覚えます.商品名は国家試験には出題されないので,医学生のうちは,一般名を程よく覚えておくレベルで十分だと思います.

疾患の各論的知識は医学生のうちに

イレウスでは立位腹部レントゲンでニボーが見えるよ,といった疾患の各論的知識は医学生のうちに記憶しておくべきだと思います.研修医は忙しく,他にするべきことがたくさんあります.有名な疾患の病態生理,症状,検査,診断,治療を暗記しておくのが理想だと思いますが,YearNoteの各疾患の概念の記述が頭の中にイメージできれば最低限大丈夫でしょう.

医学以外のことは医学生のうちに

研修医になると,学生時代と比較して自由になる時間が少なくなります.旅行や趣味など好きなことに時間を使うのがよいと思います.

治療法がない慢性疾患の外来診察の難しさ

とある日に,筋ジストロフィーの患者さんが過換気症候群になり来院しました.

筋ジストロフィーは徐々に筋力が低下する疾患で,根本的な治療法がなく,次第に歩行困難となり,重症ならば呼吸不全や心不全で死亡します.そのため,専門の病院で診察を受けても,今の状態を評価され,日々の生活のアドバイスだけで終わってしまうようです.そのような診察を受けることに全く意味を感じないため,最近はかかりつけの専門病院を受診していないとのことでした.

別の日に,脊柱の傍に腫瘍が指摘されているが増大しないため経過観察になっている人が同部位の疼痛を訴えて来院しました.

CT検査を行ったところ腫瘍の大きさは不変でしたが,脊柱の傍のため少し神経を圧迫しているような印象がありました.神経が刺激されて疼痛が出現したのだろうと考え,かかりつけの専門病院を受診するように勧めました.しかしながら,診察は年1回MRI検査を受けたあと外来で数時間待って,「大きさは変わらないので1年後にまた来院してください」という説明の繰り返しで,そのような診察を受けることに全く意味を感じないため,通院を中断しているとのことでした.

医者としては,疾患の増悪がないことを定期的に確認することが診察なのだと考えます.しかし患者さんにしてみれば,何もしてくれないと感じるのかもしれません.治療法がなかったり,経過観察でよい場合に外来でどこまで患者さんに寄り添ってあげられるかが,長期間の診察継続のために重要なのかもしれません.