みーの初期研修

お医者さん2年目の「みー」が,医学に関する知識や日々感じたことをまとめています.

手術室の会話と古文の会話

古文では主語が省略されることが多いです.例えば,

十月十日ほどにおはしたり.(和泉式部日記より)

敦道親王との恋愛を描いた和泉式部の日記なので,おはしたのは敦道親王と分かります.わざわざ「十月十日ほどに敦道親王がおはしたり」とは記載しません.

手術室の会話も主語が省略されるようです.

術者:「体位お願いします.」

手術中に手術台の操作を行うは麻酔科医の仕事なので,麻酔科医が動きます.

術者:「3-0バイクリル.」

糸を用意して術者に渡すのは器械出し看護師の仕事なので,器械出し看護師が動きます.

外回り看護師:「病名・術式は予定通りですか?」

病名と術式を決定するのは執刀医の仕事なので,手術終了確認の上記の質問に答えるのは執刀医です.

手術室にいるスタッフの役割は厳密に決まっているので,動詞や目的語だけで誰に対する発言なのかが分かるわけです.

手術を円滑に進めるために発達した高度なコミュニケーションなのだと思いますが,経験がないみーにとって,手術室の会話は古文のように感じました.